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消費税の納付手続きはこれ!ちょっとお得な方法【確定申告】


まず、消費税の納付期限は、申告期限と同じタイミングです。

また、消費税は自主納付制度なので、申告をしても税務署から納付書が送られてくることはありません。

つまり、住民税と同じような感覚で納付書を待っていると、そのまま納付期限が経過して税務署から督促状が送られてきます。

なお、納付が遅れてしまうとその分延滞金が発生してしまいます。なので消費税の納付方法についてはしっかりと理解しておきましょう。

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消費税の納付期限と延滞税

消費税は、所得税や法人税と同じで、納付期限が設定されています。

そのため、納付期限を経過すると、延滞税(ペナルティ)を支払う可能性があります。

申告と納付の期限は同じ日

消費税の申告期限と納付期限は、同日です。

個人事業主の消費税の確定申告の場合は、翌年3月31日が申告と納付期限となります。

また、法人事業者の場合には、事業年度終了から2か月以内です。

納付期限が土日祝の場合、納付期限は後ろ倒しとなり、期限以後で一番早い平日が期限日となります。

納付が遅れた場合には延滞税が発生する

消費税の納付が1日でも遅れた場合には、遅れた日数分だけ延滞税が発生します。

<延滞税の計算方法>

納付が遅れた本税額×延滞税の割合×(延滞日数÷365)=延滞税の金額

納付が遅れた本税額の金額は、10,000円未満を切り捨てします。

ポイント

  • 本税36,500円の場合⇒30,000円が延滞税の計算の元となる本税額

算出された延滞税の金額は100円未満切り捨てで、延滞税の総額が1,000円未満の場合には不徴収となります。

なお、延滞税の利率は毎年変更し、令和元年は年利2.6%ですが、納付期限から2か月経過した場合には、延滞税の利率が8.9%(令和元年)になりますので注意しましょう。

消費税の納税には延納制度が存在しない

所得税や贈与税に関しては、延納制度が存在しますので、申請をすれば延滞税ではなく利子税を追加納付することになります。

利子税の利率は年利1.6%(令和元年の利率)と延滞税の2.9%(令和元年の利率)よりも低い利率なので、余分に支払う税金が少なくて済みます。

一方、消費税には、延納制度がありません。

なので、納付期限までに納付できない場合には、本税額+延滞税を納めることになります。

また、何も連絡無しに消費税を未納付すると、税務署から督促状が送付されますので、あからじめ税務署に連絡をして、納付予定の打ち合わせをしましょう。

なお、延滞税は日割り計算ですので、1日でも早く納付を完了させた方が、納める延滞税は少なくなります。

 

消費税の本税と延滞税の納付方法

消費税の本税は、納付期限までに納める必要がありますが、申告と同じタイミングで納付をする必要はありません。

納付期限までに納税すれば申告書の提出タイミングとズレでも問題ない

消費税の申告期限(中間申告も含む)と納付期限は同日ですが、申告と納付を同じタイミング行う必要はありません。

なので、申告書を提出した後、納付期限までに納付すれば大丈夫です。

 

<申告・納付期限が3月31日の場合>

  • 3月20日に消費税の申告書を提出
  • 3月30日に消費税を納付

納付する消費税の申告が確定していれば、申告書より先に納付しても大丈夫ですが、申告よりもかなり前に納付をしてしまうと、税務署から連絡が来ますので注意しましょう。

(税務署は、申告書と結びつかない納付金額は返納します)

延滞税の納付の方法と納付期限

延滞税の計算は消費税の本税とは違い、税務署が計算し、税務署から延滞税の納付書が通知されます。

延滞税の通知書が届いたら、その納付書で延滞税を納めることになります。

なお、税務署の窓口に伝えれば、本税と延滞税を同時に納めることも可能です。

また、国税庁のホームページでは、延滞税の計算システムが公開されており、延滞税の計算できますのでご参考にしてください。

延滞税の計算方法(国税庁)

 

消費税の納付方法の種類とオススメの納付方法

消費税の納付方法は、全部で5種類用意されています。

<消費税の納付方法>

  • 現金納付
  • 振替納税
  • クレジットカード払い
  • QRコード払い
  • ダイレクト納付

一番楽なのが、振替納税による納付です。

また、クレジットカードで納付すると、少しお得になる可能性があります

納付書で税務署の窓口または銀行で現金納付をする方法

所轄税務署の窓口か金融機関窓口に行けば、設置してある納付書で納税ができます。

所轄税務署とは、住所(事務所を納税地に指定してる場合は納税地)を管轄している税務署です。

また、納付書は使用できる税務署が決まっており、指定された税務署以外の税務署への納税はできません。

ポイント

  • 納付書に「麹町税務署」と印字⇒その納付書は麹町税務署以外への納税では使用不可

金融機関については、ゆうちょ銀行やみずほ銀行など、一般的な銀行であればどこの支店でも納付可能です。

なお、所轄税務署に電話すれば郵送で納付書を送付してくれますので、平日に税務署に行けない場合でも納付書を取り寄せることができます。

 

振替納税で口座引き落としをする方法

振替納税とは、所轄税務署に税金引落の預貯金口座を指定し、自動引き落としをする方法です。

振替納税を適用するためには、納税の期限までにあらかじめ口座振替の依頼書を提出する必要があります。

なお、口座引き落としの時期は、納税期限よりも後になります。

<令和元年分の個人事業主の消費税の納付時期>

納期等の区分 法定納期限 振替日
確定申告(原則) 令和2年3月31日(火) 令和2年4月23日(木)

 

もし、振替日に指定した預貯金口座の残高不足だった場合には未納扱いとなり、法定納期限から延滞税が発生します。

また、インターネット専用銀行など、一部の金融機関では振替納税が利用できませんので、利用できる金融機関は所轄税務署に確認してください。

転居等により所轄税務署が変わった場合や、既に振替納税で指定している金融機関や口座を変更する場合には、新たに振替納税(変更)の手続が必要となります。

税務署から連絡はありませんので、転居等した時は忘れずに変更手続きをしましょう。

クレジットカード支払いは納税して少し得になる方法

消費税は、クレジットカードで納付することも可能です。

納付は、国税のクレジットカード納付専用サイトの「国税クレジットカードお支払サイト」を利用します。

<利用可能なクレジットカードブランド>

  • Visa
  • Mastercard
  • JCB
  • American Express
  • Diners Club
  • TS CUBIC CARD

クレジットカード払いのメリットは、24時間納付が可能である点と、クレジットカードのポイントを貯めることができる点。

デメリットとしては、決済手数料と支払いの領収書が発行されない点があります。

<クレジットカード納付の決済手数料>

納付税額 決済手数料(税込)
1円~10,000円 82円
10,001円~20,000円 164円
20,001円~30,000円 246円
30,001円~40,000円 328円
40,001円~50,000円 410円
以降、10,000円を超えるごとに決済手数料82円が加算されます。

1万円ごとに82円の決済手数料が発生しますが、クレジットカードの還元率が1%であれば、1万円で100円分のポイントが貯まりますので、差引分のポイントがお得になります。

なお、クレジットカード支払いは1度の手続につき1,000万円未満かつ、利用するクレジットカードの決済可能額以下の金額であることが条件となります。

(決済手数料含む)

QRコード支払いはコンビニで消費税を納付できる方法

国税庁ホームページの確定申告書等作成コーナーや、コンビニ納付用QRコード作成専用画面では、納付用のQRコードが作成できます。

作成した納付用QRコードを利用可能のコンビニに持参すれば、納付書を使用せずに納付ができます。

<QRコード納付が可能なコンビニ>

  • ローソン(「Loppi」端末設置店舗のみ)
  • ナチュラルローソン(「Loppi」端末設置店舗のみ)
  • ミニストップ(「Loppi」端末設置店舗のみ)
  • ファミリーマート(「Famiポート」端末設置店舗のみ)

※本記事作成時点の情報です。

なお、QRコード納付できる金額は30万円以下です。

e-Taxを利用したダイレクト納付方法

ダイレクト納付とは、e-Tax(国税電子申告・納税システム)により申告書を提出した後に、自身名義の預貯金口座から、口座引落しにより国税を電子納付できる方法です。

ダイレクト納付を行う際は、事前に税務署へe-Taxの利用開始手続を行い、専用の届出書を提出する必要があります。

また、ダイレクト納付が利用できる金融機関は、「利用可能金融機関一覧」にある金融機関のみです。

ダイレクト納付による手数料は発生しませんが、領収書は発行されません

 

消費税の納税は早めに手続きを行うことが重要

どんなに消費税の申告を早く提出しても、納税が完了しなければ、延滞税が発生します。

税務署が納付が未納であることを連絡するのは、納付期限を経過してからです。

また、銀行での納付できるのは、平日の午後3時までの銀行がほとんどですので、納付期限当日だと納付が間に合わない可能性があります。

2019年10月から消費税が10%に増税する関係上、納める消費税額も増加します。

期限までに納税できない場合には、税務署や税理士に相談し、早めに行動をしましょう

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