消費税の基礎知識

消費税10%か8%か?10月1日をまたぐネット通販

2019年10月1日から、消費税が8%から10%に変更となるため、駆け込みでまとめ買いを考えている人もいますよね。

ちなみに総務省の家計消費状況調査では現在、約4割の人がネット通販を利用しているといわれています。

実は、2019年10月1日をまたいで、商品を購入した場合

「あれ?増税前に購入したのに消費税が10%だった・・・」

といったことが発生してしまう可能性があるんです。

では、なぜそのようなトラブルが起こるのでしょうか?

 

ここではこのようなトラブルを避けるために

消費税の増税のタイミングでネット通販で損をしない方法」

をできるだけわかりやすく解説していきます。

消費税10%:絶対に知らないと損をする

消費税が10%に引き上げられるにあたり正しいルールを知っておくことは大切です。

何も知らないままネットで買い物をすると、場合によっては大きなトラブルになることも。

そういったことを避けるためにもここでは「消費税10%引き上げ時に消費者が把握しておくべきこと」

を解説します。

 

商品発送日がポイント

通信販売は、消費税法上「資産の譲渡」に該当するため商品を購入した場合

販売者側は「資産を引き渡し時」を起算として消費税を計上します

具体的に説明をすると、商品の発送日に商品を販売したと判断されるのです。

商品の発送日を起算とすることを購入者が知らなければ

「増税前に商品を購入したはずなのに、10%の消費税が適用された!」

といったことになってしまいます。

 

ネット通販の利用者は年々増えていますので、今回の増税の影響は前回以上に大きくなることが想定されます。

もちろんネットショップ側でも事前のトラブルを避ける努力はしていると思いますが

購入する側でもしっかりいくつかのポイントは抑えておきましょう。

食料品は消費税8%のまま

軽減税率が適用されることですべての商品の消費税が10%に引き上げられるわけではありません。

軽減税率対象品目となるお酒を除く飲食料品は消費税は8%のままになります。

なので、お酒以外の飲食料品をネットで購入する場合については

2019年10月1日以降の発送になっても消費税率は10%にはなりません。

ただし、軽減税率が適用されると複数の税率が混在するため、納品書などは税別で記載されるようになります。

食料品の送料には軽減税率が適用される

通信販売は送料がかかりますが、軽減税率制度が始まると送料の手続きが大変になります。

大変になる理由は、一般的な商品を発送する場合は標準税率が適用されるのですが、飲食料品を発送する場合は、送料にも軽減税率が適用されるのです。

消費税10%「経過措置」とは?

消費税が10%に引き上げられて軽減税率が導入されると、トラブルが発生する可能性が高くなるということは以前から想定されていました。

そのため、消費税に関する経過措置というものがあります。

これは下記の条件を満たしていれば、従来の消費税率での計算が認められるようになるものです

 

【経過措置の条件】
・2019年3月31日以前に商品価格が提示されていること
・2019年10月1日以前に申し込みを受けていること
・2019年3月31日以前に提示された条件のままで商品を販売していること

消費税の経過措置の注意点

経過措置が認められる条件について解説してきましたが、少し分かりづらいこともあると思うため、もう少し具体的に説明をします。

条件として「2019年3月31日以前に商品価格が提示されていること」があると説明しましたが、購入者側は、商品価格の提示日など分かりません。
商品価格をデータで入力してECサイトにアップロードした日を示すものなので、販売会社側しか分からないのです。

 

また「2019年3月31以前に提示された条件のままで商品を販売していること」にも注意が必要です。

この条件は、2019年4月1日以降に、商品の販売価格や条件を一度でも変更してしまうと適用されなくなってしまいます。

一般的に通信販売では、セールなどが頻繁に開催されるため、6か月以上、販売価格が変わらないことは少ないでしょう。
そのため、消費税の経過措置が適用されるケースは少ないかもしれません。

 

しかし、経過措置が適用できる場合は、お得に買い物をすることができるため、経過措置対象の販売会社かどうかは軽視しないようにしましょう。

各販売会社は、軽減税率制度のトラブルを事前に防止するために、注意書きなどを掲載するでしょう。

このような注意書きを読んで、消費税の経過措置が適用される会社かどうかを確認してください。

消費税の10%:気をつけるべきこととは

通信販売に関連する消費税10%の引き上げ問題は、意外と複雑であることは理解して頂けたと思います。

消費税10%の引き上げに向けて、購入者はどう対応すれば良いのでしょうか?ここでは、消費税の10%の引き上げに向けた対策をご紹介します。

サイト上の商品価格表示を確認する

2019年9月末など、消費税増税前に通信販売で商品を購入する場合は税率をシッカリと確認しましょう。

また、販売業者が、消費税増税に向けた商品販売価格の変更ECカートシステムの導入、注意書きの記載に対応しているかどうかも確認してください。
通信販売会社の中には、消費税増税のトラブルを避けるために、誤解が生じないための説明文を記載する会社もあります。

このような販売会社で商品を購入すると安心できるはずです。

早めに買い物する

消費税10%に引き上げられる前に、増税前の買い物を済ませておくことが大切です。

2019年9月末に増税前の買い物を行うと、駆け込み需要で商品の発送が遅れた場合は増税分が請求されてしまいます。

そのため、9月末のギリギリの買い物は控えたほうがよいです。

増税前に購入したい商品がある場合は余裕を持つため、早い段階で商品を購入するようにしましょう。

実際にあった話

ちなみにある女性がコンタクトレンズも毎日使う消耗品ということもあり、増税を踏まえて

二ヶ月前にまとめ買いの注文をしようとしました。

その際にお店から

 

消費税増税に伴う駆け込み購入で、万が一発送が遅れてしまった場合は、増税分が請求される場合があります。

と案内をされたようです。

早く注文しても消費税8%で買えないこともある

ので注意した方がいいですね。

 

10月直前の注文で間に合えば良いかと思ってしまう方も多いと思いますので

この点は十分、認識して余裕をもって買い物するようにしましょう。

良くある質問

消費税の増税前後の通信販売は複雑になり、トラブルが発生しやすくなります。

消費税10%の引き上げについて良くある質問をまとめてみましたので参照してください。

 

Q.発送日が異なる商品が混在してしまう場合の対応方法は?

サイトで複数の商品を購入する方は多いと思いますが、商品の在庫状況が異なる関係で発送日が異なるというパターンも通信販売では起こりがちです。

このような場合は、発送日ごとに別々の税率が表示されることになります。

また、このように複雑だとトラブルを招く原因となるため「9月30日までの注文は、すべて〇%の消費税が適用されます。」

と明記して対応する販売会社も出てくるはずです。

どうしても、増税前の駆け込みで商品を購入したい場合は、このような説明文を記載している通信販売会社で買い物を済ませてください。

Q.駆け込み需要で在庫がなくなり発送日が遅れてしまう場合の対応方法は?

商品が駆け込み需要で在庫がなくなり発送日が遅れてしまう場合、既に8%決済完了しているのであれば、決済時の消費税率が適用されるのが一般的です。

該当の消費者に連絡をして、消費税が上がることに同意を求める手間や決済手続きの変更する手間を考えると消費税の変更は難しいでしょう。このような場合は、販売者側が消費税を負担するのが一般的です。

Q.商品発送日が10月1日より前に変更となった場合の対応方法は?

こちらの質問は、先ほどの質問と逆のパターンとなります。

消費者は既に10%の消費税で決済をしている場合、発送日が前倒しになれば2%の消費税は取り戻すことはできるのでしょうか?

一般的には、残念ながら消費税2%分を取り戻すことは難しいとされています。

消費税の返金手続きの手間や決済手続きの変更の手間がかかるからです。
消費者は、このようなトラブルを避けるために10%の消費税で決済した商品は10月1日を待ってから発送すると思われます。

Q.商品が不良品で、再発送が10月1日以降に変更となった場合の対応方法は?

この場合の処理方法は明確に決められています。

 

増税前の9月30日以前に販売した商品が不良品で、再発送した場合に適用される税率は「販売時の税率」です。

したがって、この場合は、返品に関する経理処理は消費税率8%を適用します。

増税時のトラブルを知っておこう

繰り返しになりますが増税前の駆け込み需要として、通信販売で商品を購入した場合は、商品の発送日が消費税の起算日となります

そのため、増税前の9月末にネット決済を終えても、商品発送日が10月1日以降となれば、消費税は10%が適用されてしまうのです。

総務層の統計によると、2019年6月のネットショッピングの利用者は43.4%と、国民全世帯の半分近くまで上昇していて

1か月の平均利用額は約3万3千円となっています。

 

しかし、ネット決済と商品発送のタイミングで税率が変わることへの認知度は低いとみられ

9月下旬頃の駆け込み需要を巡ったトラブルは後を絶たないと事態となると予測されています。

安心できる通販会社を利用する

このようなトラブルを未然に防止するため、通信販売の中には消費税の差額分を値引きして、増税額分を販売会社側が負担するというような配慮をする販売会社も出てきています。

また、大手通信販売会社では「重要なお知らせ」として、10月発送の商品に関しては、10%の消費税が適用されることが公開され始めました。
このような対策を取っている販売会社を利用してトラブルを防止しましょう。

まとめ

いかがでしたでしょうか?増税前の駆け込み需要のため通信販売で買い物を楽しむ場合は、商品発送日が消費税の起算日になることを覚えておきましょう。

しかし、商品発送は販売者側の手続きのため、在庫切れなどの場合など想定外の事態も発生することが予想されます。

ポイントとしては「9月30日までの注文は、すべて8%の消費税を適用します」といった注意書きが

キチンと記載されている販売会社から商品を購入する方がよいですね。

また、消費税増税に伴うトラブルを避けるためにも、余裕を持って増税前の買い物を楽しむように心がけることが何よりの重要となります。
これらを把握して買い物を楽しんでくださいね。

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